どこまで本気か冗談か判らないことまで言ってくる [生活]

この国では9年前に最後の魔女狩りを終結させ、他の先進諸国と同様に、魔女の人権を保障する法律をその後すぐに施行していた。当時の破壊の跡も修復されて久しい。今ではこの町も、また町の人たちも、その記憶も薄まってきていることだろう。そうして彼は「9年前」のことを思い起こし、その後の和国の状態に安堵のため息を洩らす。しかしその思考に、20分程前の出来事が浮かび、それまで穏やかだった彼の表情に影が過った。
 
道場を出る時、あの剣道の師範が、もう少し待てば車で送ろうという申し出をしてくれた。それはいいことなのだろうが、彼はそれを断った。というのも、あの男の物言いに少々不安を感じたからだ。何よりこの日、男の本拠地が西乃市の「北の魔女コミュニティ」にあることが分かり、こう何度も道場に顔を見せたのはまずかったか、と内心舌打ちした程なのだから。
 
勿論、沖田ソージ自身は、面白くも興味深い人間ではある。最初の自己紹介の「沖田ソージ」の発音から、彼は「起きた、掃除」と連想した。そのことを彼が素直に話すと、「はっはっは、ゴットアップ?アンド?クリーンアップですか!」と爽やかな声色で大笑いされたものだ。「これからはゲダップでもゴットアップでもクリーンアップでも返事をしますよ、好きに呼んでください」などと続けて、どこまで本気か冗談か判らないことまで言ってくる。

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